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エアリは自身のパートナーである妖精たちと、仲良くハンバーグを分けながら……決して視線を誰かに向けたわけではなく、心境を零しました。
その言葉は……以前のエアリからは、決して聞くことができなかったであろうもの。
エアリも、前に進んでいるということですね。
私も……負けてはいられません。
「……私も好きですよ。みなさんと過ごすこの場所、この時間が」
目を閉じれば、皆さんと出逢ってからの日々が浮かび上がってくるようで……思い返せば、まだ二ヶ月しか経っていないのですね。
未だかつて、こんなにも濃厚な二ヶ月があったでしょうか。
出逢い、ぶつかり、涙し、笑う……本当に、めまぐるしくて……。
「……我がチームで双璧を成すマイペース二人が、こうまで言うか。珍しいこともあるものだな」
「なーに言ってんだ、ヤミナだっていつの間にか馴染んでたクセに」
「なっ、馴染んでなどおらんわ!」
ヤミナが頬杖をつきながら言った一言に、にししと白い歯を見せながら笑うミヅキが茶々を入れました。
最早反射的に、そして咄嗟に言い返したようですが……顔を赤くしながらでは、説得力に欠けます。
「でも、ヤミナも最初会ったときより、やわらかくなったよね。すごく話しやすくなったもん」
「カレンまでぇっ……!」
カレンが朗らかな笑顔でミヅキに援護射撃を……恐らくは無自覚でしょうが。
ヤミナの頬はますます紅潮していきますが……フィアと同じく、私もなんとなく、ですが……わかってきました。ヤミナのことが。
……素直になれないだけ、なのですね。
素直な方は、フィアをはじめとしてもちろん好きですが……素直になれないだけのヤミナも、私は好きです。
何故でしょうか、安心感を覚えるから……なのでしょうね。近くにいたいと思えるのは……。
「やあ、楽しそうだね。……隣、いいかい?」
「ええ、私は構いません。どうぞ」
そのとき、私は右斜め後ろから声をかけられました……六人掛けのテーブルに、私の右隣だけがちょうどよく空席です。
私としては、断る理由はないので快諾しますが……みなさんの意見を聞き入れるべきでしたね。
……おや、みなさん、この方を見て固まっていらしているようですが。
この天然パーマで黄色い髪の、中性的な方をご存知なのでしょうか……私も、断片的ながら覚えはあるのですけれど。
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