邂逅ブロッサム

5/37
前へ
/443ページ
次へ
さて、と……誰に話しかけようかな。 席を立ち、ぐるりと教室を見回した。 そしたら、少し気になる子を発見。 窓際の真ん中あたり、そこで何をするでもなくただ窓の外を眺めている女の子。 シルバーグレーの髪を肩に掛かる程度の長さのツインテールにしたその子は、物憂げな表情でグラウンドを眺めていた。 何をしているんだろう、とか。 どんな子なんだろう、とか。 気になることがたくさんでてきて、一目で私はびびっときた。 あの子と、お友達になりたいな、って。 そう考え出したら、体が動くのはごく自然的なことだった。 「ねぇねぇ、なに見てるの?」 その子の隣まで行って、笑顔で声をかけた。 やっぱり少し不安なのか、カレンはずっと私の左袖を掴んで離さない。 「くっくっく……終焉の戦、ラグナロクは近い……全く、呑気なものよ。平和しか知らぬ小鳥の囀りか」 あれ、聞こえてないのかな……? 窓の外を見て、なんかぶつぶつ言ってるけど、こっちを見ようともしない。 だったら気付いてもらわなきゃね! 「なにしてるのーっ?」 「うひゃぁい!?」 ぽんぽん、っと軽く背中を叩きつつ声をかけてみた。 すると、びっくりしたのか大きな声を出してビクッと体を揺らして、こちらを振り向いた。 振り返ったその子は、綺麗な蒼い瞳を持っていて、警戒したように私たちを睨む。 ……その右目は、眼帯に覆われていた。
/443ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加