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さて、と……誰に話しかけようかな。
席を立ち、ぐるりと教室を見回した。
そしたら、少し気になる子を発見。
窓際の真ん中あたり、そこで何をするでもなくただ窓の外を眺めている女の子。
シルバーグレーの髪を肩に掛かる程度の長さのツインテールにしたその子は、物憂げな表情でグラウンドを眺めていた。
何をしているんだろう、とか。
どんな子なんだろう、とか。
気になることがたくさんでてきて、一目で私はびびっときた。
あの子と、お友達になりたいな、って。
そう考え出したら、体が動くのはごく自然的なことだった。
「ねぇねぇ、なに見てるの?」
その子の隣まで行って、笑顔で声をかけた。
やっぱり少し不安なのか、カレンはずっと私の左袖を掴んで離さない。
「くっくっく……終焉の戦、ラグナロクは近い……全く、呑気なものよ。平和しか知らぬ小鳥の囀りか」
あれ、聞こえてないのかな……?
窓の外を見て、なんかぶつぶつ言ってるけど、こっちを見ようともしない。
だったら気付いてもらわなきゃね!
「なにしてるのーっ?」
「うひゃぁい!?」
ぽんぽん、っと軽く背中を叩きつつ声をかけてみた。
すると、びっくりしたのか大きな声を出してビクッと体を揺らして、こちらを振り向いた。
振り返ったその子は、綺麗な蒼い瞳を持っていて、警戒したように私たちを睨む。
……その右目は、眼帯に覆われていた。
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