邂逅ブロッサム

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それからしばらくすると、続々と教室に入ってくる生徒達で、この一年A組は一気に賑やかになった。 さっきヤミナに話しかけたときは、うまくいかなかったけど……落ち込んでる暇はないよね! これだけの人数がいるんだ、早くみんなと仲良くしたいな。 もちろん、その中にヤミナも一緒に混じれたら最高だ。 「はーい静かにしてー。席についてね」 よく通る声が教室に響くと、ざわついていた室内が一気に静かになった。 それは私がよく聞き慣れた声。 教室の前の方に目をやると、ちょうど先生が扉から入ってきたところらしかった。 「うん、すぐに静かになってえらいよ。流石は先生の受け持つ生徒達だ」 教卓に立ち、にこにこと笑みを振りまいたのは、前髪を右で分け、赤縁の眼鏡を掛けた若い女の先生。 見覚えのある……どころか、毎日顔を合わせているこの先生は、私のママでもあるんだ。 「ということで、この中等科一学年の主任兼A組の担任をやらせてもらいます、ルミ先生だよ。一年間よろしくね」 肩甲骨辺りまで伸ばしたピンクの髪は、艶やかでとても綺麗だ。 家にいるときとは、やっぱり全然印象が違うな……ママの時と先生の時で、どうしてこんなにも違って見えるんだろう?
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