第1章

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苦すぎる中学時代が終わり、高校生になると何故か私はいじめのターゲットになっていた。 入学して二日目に、だ。 どうやら顔が地味な私にリーダー格の女子が「そうだ、あいつにしよう」と言ったのが始まりらしい。そんな献立を決める軽さで人のことをいじめのターゲットにしないでほしい。 物を隠される、捨てられる、陰口を叩かれる、私物に落書きをされる、放課後に呼び出される。嬉しくないがいじめもののドラマでやるものの大体はコンプリートしてしまった。そして現在進行形でこのいじめは継続中である。今日は机の中にカビたパンが置いてあった。しかも猛烈にカビが侵食した、触れることすら生理的に嫌な程まみれていた。その状態になるまで保存しておいたのだろうか、ご苦労なことだ。 後はこの間、付き合っていた彼にフラれた。二年付き合っていた彼が突然呼び出して言ったのだ。 「ごめん、俺男が好きになったんだ」 ―――ちくしょう何でだっ!! 思わず彼の頬を一発拳で思いきり殴ったら痴話喧嘩かと警察が止めに入ってきたので二発目が不発に終わったことは未だに悔しい。 何で?何で私の好きになった人はことごとくゲイに目覚めるの?そういう運命なの?私が悪いの?私はゲイ製造機なの?それとも男運が無いってことなの?…………鬱だ、死のう。  そして現在、私の右手には剃刀が握られている。 小さい刃物だが新品だし、安物であろうと切れ味は抜群だろう。 まあ、要はこれから私は自殺をするのだ。さっきのは人生最後の振り返りであるが、思い出せば出すほど死にたくなってきた。どういうことなの、やっぱり碌でも無いな私の人生。特に男関係が。ちくしょう、普通の彼氏欲しかった。 嘆くもそんな悔いはあと少しで気にはならなくなる。 だって、今から死ぬのだから。 動機として、今日の学校の授業で『未来の自分は何をしているか』なんて題で作文を書かされたのが引き金だった。 ふと、考えたのだ。未来の自分が何をしているか。いや、てゆうか幸せに生きてるの?幸せに生きていける保証なんてあるの?過去を遡るあたり幸福の「こ」の字すら思い浮かばなかったんだけどどうしたらいいの?また彼氏をゲイに変貌させちゃうんじゃないの?…………そうだ、死のう。 結論、今日死のうということにした。
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