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昨日の夜、彼氏に別れを告げられた。別れる理由についてはよくわからない。「どうして」と彼に訊(き)いたが、彼も「正直よくわからない。だけど、そろそろ別れた方がお互いの身のためになると思う。」と呟くように答えてくれた。確かに、別れる時期という側面だけを見れば、私たちは別れた方がいいのかもしれない。
私たちは同級生で、この大学に入学してもう三年半経っている。そろそろ、色恋沙汰(いろこいざた)よりも己の将来を真剣に考えなくてはならないと、父によく言われている。卒業まであと僅(わず)かなのだ。彼とはもう会えなくなる上に、今、しっかりと人生計画を立てなくては明るい未来は保証できないと、母によく言われている。
父母に言われている事が本当に正しいのかどうかを確認する暇はないのだから、私は両親が言う事なのだからというので正しいと思う。
現に、本当に色恋沙汰から抜けられなくなった学生が浮雲(ふうん)の未来を辿(たど)る羽目(はめ)になったという話はよく聞いているのだ。きっと両親は娘を心配してくれているのだろう。父母は、私を愛している。私はそれに答えなければならない。
だから、今日、決意した。彼とは別れよう。色恋沙汰なんて、悪いもの、だから。そう、みんなもそう言っていたのだから。
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