第1章

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 午前六時四十五分。時計のアラームが鳴った。枕に埋もれていた顔を半分だけ出して、片目の視界で時計のアラームを止めようと腕をのばしたが、遂にそれを落としてしまった。何かが割れるような大きな音がした。しかし時計のアラームは止まったので目的は達成、と言いたいところだが時計が壊れる音で一気に目が覚めてしまったので、やはり本末転倒である。昨日はあまり眠れなかったのでアラームは三回程鳴るようにして、二度寝する予定だったのに。このまま二度寝したら、アラームは鳴らないのできっと一限には間に合わなくなる。寝過ごして大学を遅刻してしまう。だから仕方なく起き上がる事にした。  それから私はいつものように起床した。布団から抜け出すように起き上がると、ベッドの右側にある勉強机に手を掛けた。そこに私の眼鏡が置いてあったので、それをかけると少しぼおっとした。この眼鏡はなんだか見にくい気がする。多分もう度が合っていないのかもしれない。いや、ふちが狭いので元々視界も狭いのだと言われたらどうしようもないが・・・・。  そんな事を考えている内に、私はいつの間にか着替えを済ませていた。服装への拘(こだわ)りは特にない。ただ、世間の流行には合わせるようにしている。その流行にも特に好き嫌いはなく、なかなかお洒落な組み合わせもあるものだなって思う。何故私たちは世間の流行に合わせるのか。それはきっと私たちの世代の人間が孤独を嫌うからだと思う。みんなに合わせていると、なんだか落ち着くのだ。
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