新月

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*新月・1* 「違う違う!そうじゃなくて、ここは、ババァーン!と目立つようにしたいわけ!分かる!?」 「ババァーン…ですか?」 「そう!ババァーン!よ!」 仕事のやり方っていうのは、人の数だけ無数にあると思う。 「………その、もう少し具体的に言っていただけると、こちらとしても有難いと思うのですが」 「だーから!ババァーン!だってば!何で分かんないかなぁ!この商品は、このデザインが一番の売りなの。その売りを、最大限に活かした宣伝をしたいと思ってるわけ。分かる?」 「それは、分かります」 それと同じように、表現の仕方や、指示の出し方も無数にあるのも当然な事で…。 「それじゃあ、それをやってちょうだい!」 「………いや、その…イメージといいますか…具体的な絵面といいますか…」 「だーかーらー!!ババァーン!だって言ってるでしょ!?何で、分かんないの!?」 「………すみません」 重山さんとの仕事は、まず、彼女のイメージを正確に把握するのに時間がかかる。 『ドーン!』とか、『キラキラ~!』とか、『ズガーン!!』とか、とにかく、擬音語での表現の仕方が多い。
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