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「え、ちょっと待って!」
到着音が鳴り、扉が開く。
「望月さん!?」
俺の呼び止めも無視して、望月さんは、エレベーターを下りてしまった。
それと入れ替えに、数人の人達が乗り込んで来る。
追い掛けるタイミングを失ったまま、エレベーターの扉が閉じてしまった。
………何で?
俺、気付かないうちに、何か酷い事したのかな。
だとしたら、後で謝らないと。
やる気で膨らんでいた気持ちが、またどんどんと萎んでいく。
本当に、自分が嫌になる。
相手を傷付けておいて、その理由が分からないなんて…。
自分の愚鈍さが情けなく、そして腹立たしい。
楽しそうに会話をする社員の人達を目の前に、何となく感じる居心地の悪さと、自己嫌悪に俯き、爪痕が残るくらい、両手の拳を握り締めた。
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