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だってこんなでかいのが慌ててみたり
隠すことなんて出来るわけがないのに、失敗を誤魔化そうと笑ってみたり
そのくせ腹減ってるとか素直に言ったらさ、つい簡単な飯くらい作ってもいいかなって思うじゃん。
「あのぉ……俺、グリーンピースはちょっと……」
「は? 好き嫌いする気?」
「まさか~大丈夫です! 食います!」
それにバーで食べられるものなんてたいしたものじゃない。
炊いた米は冷凍してあるし、それと冷蔵庫にあるもので簡単に何か作ろうとは、元々考えていたんだ。
それがたまたま二人分になっただけの話で、手間は元々掛かる予定だった。
だからこれはわざわざ瑞樹のために作っているわけじゃない。
「俺もグリーンピースのぼそぼそ苦手だから大丈夫」
「! ですよね! あのぼそぼそ! なんでシューマイとかに乗ってるんだろってずっと思ってたんすよ」
そんなに嬉しそうにぼそぼそ感について同意されるとは思っていなくて、つい笑ってしまう。
「向こう座ってれば?」
「いえ、見ておきます!」
「……あっそ」
まるで大型犬が「何をしているの?」と覗き込んでいるみたいだ。
酔いが残っているのと、視線でなんだかこそばゆい。
「っつうか喜一先輩、彼女とデートだったんじゃ」
「んなわけないだろ。ゲ……」
「ゲ?」
ゲイと言うべきか迷って、止めた。
別にここで公表してもいいし、そのままこいつが俺のカミングアウトに退いても構わない。
ただゲイと同じ屋根の下は……と言われても、もう遅い時間でどうにも動けないだろう。
そんな気まずい中で一晩過ごすのも、どうかと思うし、何より二人分の飯もどうしようってなる。
「お前こそ女好きのくせに、よく連れ込まなかったな」
「アハハ、だってペットですから」
よくわからない答え
そう思いながら、チラっと横目で伺うと、ニコニコ笑いながら俺の手元をじっと覗き込んでいた。
「喜一先輩って……手、綺麗っすね」
「は? アホ、いいから卵ふたつ取って」
“なんか手つき、エロいっすね”
その言葉を思い出して、慌ててその視線を強制的に他へ向けさせる。
そして卵を持って戻ってきたこいつに手元が見えにくいよう、ほんの少しでも早く動かすことに集中していた。
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