第7章 意味不明生物

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ゲイでもない、完全ノンケのくせに、冗談やからかうわけでもなく、普通に俺の手を取って屈むように匂いを嗅ぐなんて。 しかもにこやかに笑いながら、手が柔らかいなんて――ツッコミどころが満載過ぎて全部をスルーしてしまった。 「お前ってさ」 「?」 「本当に女ったらしなんだな」 しかも天然の、そう呟いた俺をすごく不思議そうに眺める、天然タラシは史上最強に怖いと思った。 男で先輩で アシスタントとトップで そんな相手に普通こんなことをするのがおかしくないのかどうか、自分の判断がよくわからなくなるくらいに こいつは意味不明生物だ。 「帰るぞ」 ただの可愛い大型犬じゃない。 周囲の目なんて全然気にしない、そんな意味不明生物の行動は読めなくて、俺は急いでカフェを後にした。 「もう買い物は済んだから、あとは別行動でいいよ」 「えー? でもどこか行くんすよね」 「夕飯の材料買いに」 「なんだ。まだ買い物するんじゃないっすか。しかもこっからのほうが荷物増えるし」 意味不明生物の大型犬なんて、次におかしな行動を取られたら、パニックになりそうで早くどこかに行って欲しい。 スーパーに向かおうとする俺は、その逆を歩くように指示を出すけど、それこそまだ散歩するんじゃん! と後を必死でついて来る大型犬となった瑞樹と、中途半端な場所で押し問答をしている。 「荷物持ちしますって」 「いいって」 「あれ? 瑞樹?」 そこへ控え目に大型犬を呼ぶ声が聞こえた。
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