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リリーン、チリリーン。
昔懐かしい黒電話の音を響かせて、いる部屋の奥からパタパタと軽快な足音が響く。
「はぁ~い。今行きますわ~。」
チリリーン、リリーン…。
「うふふ…。間に合いましたわ。」
鈴のような高い綺麗な声が部屋に響く。
白く細い指先が照り輝く黒電話の受話器をゆっくりと持ち上げる。
黒い受話器が耳元と口元に届くと…
「はい、戀戀茶房(れんれんさぼう)でございます。」
嬉しそうな、晴れやかな声が再び部屋中に響く。
さて、この戀戀茶房とは…
萌伏学園前のバス停から山の手行きに乗って45分。
終点の3つ前のバス停…『恋人橋前』で下車。
橋を渡たって、すぐの信号を右に曲がり、
向かって左側の小さい車がやっと通れるくらいの坂道を登る。
5分程登っていくと、右側に小さな看板が見えて来る。
『戀戀茶房このまま直進』
看板が見えたら…残り10分。
周りの景色を楽しみながら歩く。
視界が開けた先には、四季折々のバラに彩られた庭園。
その先に洋風の古い古民家…
何とも辺鄙な所に出来たカフェである。
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