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「まぁ、お姉様!ご機嫌麗しゅうございます。」
嬉しそうに長い髪に指を絡ませ、電話に向かって語りかける。
「………えぇ、いらして頂けるのですか?……でも……お忙しいのでは?。」
心配そうな声色に電話の向こう声は、心配は要らぬと豪快に笑う。
途端に、花が咲いた様な笑顔を見せて、
「まぁ、まぁ、本当ですの!では、お待ちしておりますわ。きっと…お姉様が一番最初のお客様になりましてよ。……うふふ、お待ちしておりますわ。では、また。」
チン
音をさせて受話器を元の場所に置く。
さて、
この電話に出た娘は、成葉由利(せいはゆーり)と言う。
鈴を転がすような高い声、幼さが残るが十分に整った美しい顔立ち。
そして、やや高めの身長でありながらピンと姿勢良く伸びた背。
腰まで伸びたミルクティー色柔らかな髪を緩やかに編みこんでいく。
黒いワンピースに白いエプロンとヘットドレスを着ければ…
彼女は立派なこのカフェの店員へと変身を終える。
由利は顔をほころばせながら、彼女の雇い主兼お目付役に元へと走る。
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