.:*:。花な散りそね・゚:*:・'°☆

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「前回はちょうど三月三日で“飛拏摩通離(ひなまつり)”を見学いただいた」 「あれは勇壮かつ芸術でおじゃるから……えぇっ!?見学?」 絆愛高等学校独自で行う行事は、学校の色が色濃く出ているが、外部の人間が見学することはまずない。 あるとしても、卒業生の役員達か系列学校の関係者が来る程度で、絆愛に免疫がない人間等0と言っていいだろう。 玉袋先生が驚くのも当然である。 「国から査察団が来るのだ」 そんな二人のやり取りが聞こえたのか、校長が静かに言った。 「査察団?国からでおじゃりますか?」 「左様…三年に一度、“暗黙の了解”に相応しい学校であるか否かを見に来るのだ」 “暗黙の了解”とは……… 全国で三校しか与えられていない国家公認の証のこと。 通称『暗黙の了解』。 死人及び半死人を出せば即日のうちに資格剥奪。 しかし、死なない程度迄なら、学校内での多少の“荒療治”もお咎めなし、学校独自の特別カリキュラムも許されると言われている。 腑抜けとモンスターペアレントを抱え頭を悩ませる学校からすれば、垂涎の幻の証。 なお、現段階での権限は、全ての絆愛系列校に及ぶ。 「三年に一度、査察団が我が校の様子を見て判断するのだ。過去には数々の行事や授業風景を見てもらったが……まだ入学間もない一年には、ちと苦しいであろうのう…」 校長が苦しそうに眉を寄せ目を瞑る。 「一年の参加が苦しいのでおじゃるなら、逆に一年をゲスト待遇にする案は可笑しいでおじゃるか?」 「一年を?どうやって?」 「その日に新入生歓迎会を催して、上級生が絆愛の生徒らしくもてなすおじゃる」 二人が小声で話していると、離れた場所にいる変熊男(かわり くまお)先生が手を挙げ『絆愛らしい新入生歓迎会はどうでしょう?』と言った。 驚く二人をニヤリと笑い、ピンクのレザー仕様レスリングウエアの肩に指を入れ『どうだ!』とばかりに目を細める。 そして手作りらしいフリルのヘッドドレスの下に見える、高い位置で二つに結わえた鋼の硬さを持つ長く縮れた黒髪を、獅子の毛振りのごとく挑戦的に振った。 校長が『それは面白い』と頷き、変先生の案として早速計画が練られることになったが、三斉流先生は解せない様子だ。
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