.:*:。花な散りそね・゚:*:・'°☆

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変先生の案も書き上がり、校長が目を通している間、落ち込んでいる変先生を横目に三斉流先生が小声で言った。 「玉袋先生、気を付けた方がいい。まだ真似られていないのは、玉袋先生のダダスーツだけだ」 「まさか、麿の真似まで?」 「ほとぼりが冷めた頃、次はダダスーツもしくは、カネゴンスーツかもしれない」 「カネゴンスーツは機動力に劣るでおじゃるが、見映えがいいでおじゃるから…」 二人がそんな話をしているとは知らず、職員室内では話が進んでいく。 「園芸部と華道部と盆栽愛好会にも協力願う。顧問は迅速に手配を」 「「「はっ!! 」」」 何人かの先生が立ち上がり敬礼する。 「三斉流よ、華道部や盆栽愛好会に必要な物がないか問うておいてくれ。注文があれば速やかに木工部で準備にかかれ」 「了解しました」 三斉流先生は立ち上がり敬礼すると、チラリと変先生を見てフンと鼻で笑う。 「まあ、所詮は猿真似レベルの男だ。レザーの質も悪い。それに玉袋先生の完全コピーは厳しいだろう。怖るるに足らん」 「麿など単純ゆえ、真似る価値もないでおじゃるよ」 「すぐそうやって謙遜する」 呆れている三斉流先生の様子にも、玉袋先生はどこ吹く風だ。 話はとんとん拍子に進み、教頭先生を連れ校長は校長室に戻った。 残された教師で話をまとめ上げ、校長の準備ができたことを確認し教務主任が放送室へと入った。 “ジャ~ン” 『あ~…全校生徒に告ぐ。速やかにグランドに集合。制限時間は余分にとって今から1分43秒……以じょ…がぁ~あ…かかぁーっ…痰がからんだ…かははっ…かぁーっ…ぺっ…』 賑やかな放送が終わるより早く、二・三年生は教室から飛び出していた。 ある者は窓から、ある者は階段下まで飛び降りたり。 高い身体能力を誇る絆愛の生徒には造作もないことだ。 しかし、慣れない鉄下駄装備の一年生には苦しい注文だったらしく、全員が揃うまで10分を要し、階段で落下し血塗れになっている者も多数いた。 なお、この程度の怪我人には、アサリ汁で出た貝殻に入れた、何にでも効く秘薬“校長の脂”が処方される。
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