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プロローグ
必死になって内定をもらった会社に、馴染めないと気付いたのは、入社後すぐのことだった。
自覚した後、気付けば退職に追いやられていた。
そんな私を見兼ねて下請けだった会社の社長さんが声をかけてくれたけど、都会で暮らしていくには苦しくて、その日、知り合いの紹介でバイトを始めた。
週末に開催される、大企業のディナーパーティー。
華やか過ぎる世界の中、まるでそこだけ切り取られたように、冷たい目をした彼が、その場にいた全ての女性の時間を止めていた。
――新(あらた)さん。
聞かなくてもすぐさま、女性たちの囁き声でその名を知った。
睨まれているのか、みすぼらしいと思われたのか、それともただの自意識過剰か――。
彼の鋭すぎる視線にまばたき一つできなくなって、気付けばその場に立ちすくんでいた。
~高嶺のヒト。~
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