平行世界

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扉ががちゃりと開く。 そこから風を切る様に、ズカズカと歩いてくる一人の大柄な男。その男は、傷だらけで人相も悪ければ、服装も派手な物を身に付け、乱れた格好をしている。 「やっぱり此処に居たかミラ。今日は卒業式だ。此処のてっぺん白黒付けとこうぜぇ。」 主人公の奇跡は、奇跡という名前からミラクル、ミラというあだ名で呼ばれていた。これからこの物語でも彼の事をミラと呼ぶようにしよう。 そしてどうやら彼は、この男とこの学校でてっぺん、つまりは頂上。どちらが喧嘩が強いか日々争っている様であった。 「お前ホントしつけぇよ。俺はそんな事、興味ないと言ってんじゃんかよ。」 「るせぇー!負けてばっかじゃ卒業できないんだよッ!!」 前言撤回しよう。どうやら大柄の男は、ミラに負けっぱなしで、そしててっぺん等には全く興味を持っていない様であった。しかし、そんな事を無視して、勢いよく走ってくると、座っているミラに対して、前蹴りをする男。ミラはその攻撃を避ける素振りも無く、思い切り蹴り倒れてしまう。 「だーっはは!お前なんて俺様の攻撃で一撃だ!・・・なんて、そんな事はないか・・・。」 自信満々で笑う男であったが、これはいつもの事、痛がる様子無く、傷一つ付いていないミラは、ゆっくりと立ち上がった。
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