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作家特有の睡眠不足スキルが発動したお陰で多分、数時間は眠っていたと思う。目を開けると、大きなスカイブルーの瞳が俺を覗き込んでいた。
「うわあ!?」
慌てて身を起こし、辺りを見回すも相変わらず草原地帯に囲まれていた。先程と違うのは、俺以外に人が居る、と言う事。
「やあ、おっはよ☆気分はどう?」
ピンク色の巻き毛のあどけない女の子?はにこやかに俺に話かけてきた。その後ろにもう一人、全身黒づくめでシルクハットを被った男も無言のまま、じっと俺を見つめている。
「あの…どちら様?」
巻き毛の子は黒づくめの男と視線を合わせて首を傾げた。
「あれれ?おっかしいなー。創造主であるアリスが、ボク達を覚えてない?およよ?」
…はい?創造主?アリス?何サイコな事言ってんだ、こいつ。大丈夫なのか。
「ティムロット。…白うさぎの仕業かもしれない。記憶に奴が干渉している可能性がある」
黒づくめの男がそう呟くと、帽子を取り、長い黒髪を風になびかせながら、俺の前に片膝をついた。…つーか、典型的なヴィジュアル系ロックバンドマンじゃねーか、見た目。片耳にすげーピアス付けちゃって。ドラムでも叩いてそうだ。
「お帰りなさいませ、アリス様。我ら、女王の命によりお迎えに参りました」
サイコパス二人目現る。
ただでさえサバンナに迷い込んでパニックになってんのに、現れた人間がサイコパスとか話しにならねぇ。俺は慌てて、サイコパス二人から逃げようと立ち上がった。が、思いっきり視界が揺らいで倒れそうになる。
「大丈夫ですか、アリス様」
ヴィジュアル系の奴が支えてくれなかったら地面にこんにちはしてた。そういえばさっきから視界がやたらと霞む。眼鏡はしてる筈なのに、焦点が合わない。
「これ、要らないよぅ?だってここはキミの作った世界なんだから。こんなのしてたら却って邪魔になるよー」
ティムロット、と呼ばれた巻き毛の子が俺から眼鏡をひょいを奪う。
「あ、おい!眼鏡返…。ん?お前、今何て言った?」
「ほえ?キミが作った世界ってとこ?」
俺が、作った世界?耳を疑わざるを得ない。
瞬間的に全身に衝撃が走り、鳥肌が立った。
もしかして、ここは。俺が叔父の為に、書いていた小説の世界なんじゃないだろうか。到底信じられないが、そうだとするとサイコ二人との話しも合うし、何せこの周りサバンナ状態も説明がつく。
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