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「伝令としてこられた上等兵の方がロビーでお待ちです。ロビーまでお越しください。」
用件を伝えると左腕を骨折しているトプロスを促すように彼が立ち上がるのを待っていた。
「伝令?後送される俺に今更を伝えることがあるというのだ?」
トプロスが疑問に思ったことを素直に口に出しながらのそのそとベンチから立ち上がる。その様子を看護師が焦らせるでもなく見守っていた。
トプロスが指定されたロビーへと向かうと、所在無くその場でたたずんでいた上等兵の階級章をつけた一人の兵士がキョロキョロと落ち着き無く周囲を見回していた。
「ご苦労様です。トプロス・トリケスラー上等兵です。
ご用件はなんですか?」
わざわざその上等兵の視界に入るようにして近づいたトプロスが話を切り出した。
「あぁ、トプロス上等兵ですか?
お加減はいかがですか?」
トプロスに伝言を伝えに来た上等兵は、改まってトプロスに向き直った。
「どうもこういったところとは無縁な生活をしていましたので、この様な雰囲気には慣れません。」
ハハッと笑いながらその上等兵はトプロスに軍上層部からだという伝令文を渡した。
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