序章

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 「上等兵には軍上層部からの指令でメキシコシティではなく連邦軍本部ジャブローへと配属換えとなります。出発は予定通り明日です、一度メキシコシティに行っていただいて、明後日メキシコシティから南米ジャブローへと向かっていただきます。」  待っている間に伝令文の中身を暗記していたのかすらすらと伝令文の中身を話してみせる。  「ジャブロー?  軍本部が俺に何の用だ?」  怪訝な表情で上等兵から受け取った伝令文を広げる。その伝令文には、地球連邦陸軍少将の名目でこう書かれていた。  <連邦陸軍北米方面隊第108師団第127機械化大隊第3戦車中隊トプロス・トリケスラー上等兵。  貴官を0079年3月25日付けをもって、連邦宇宙軍第103教育大隊第13中隊131小隊への配属換えを命じ、ジャブロー勤務とする。>  命令発令は3月23日だった。  「何だ、この命令書は!」  戦時中の配属換えは良くあることだった。しかし、連邦陸軍から連邦宇宙軍へ軍を跨いでの配属換えなどは前代未聞のことだった。ジャブローに連邦陸軍の部隊が配置されていないはずが無い。つまりは、陸軍の上層部はトプロスに対して機種転換を強要しているのだ。  「こんな命令書など聞いたことが無いぞ!」
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