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思わず正面にいた上等兵に対して怒鳴りつけてしまう。
「自分に言われても軍上層部の考えは分かりかねます。」
上等兵はニコリともせずにトプロスの怒鳴り声を真正面から受け止めた。
確かに、この上等兵は軍司令部からの命令文をトプロスに伝えただけに過ぎない。トプロスから罵声を浴びせられる筋合いなど本来この上等兵は有してはいない。それでもトプロスの罵声を受け流すことをしなかったのは、単にトプロスの反応が予想できていなかっただけなのか、それともトプロスが怒ることをよく予測しておりあえて受け止めたのか・・・。
「ともかく上層部からの命令文は確かにお渡ししましたので、自分はこれで失礼しますよ。」
トプロスから浴びせられた罵声のためなのか、憮然とした様子で伝えたいことだけを伝えた上等兵はそそくさと病院のロビーを後にした。
自分は戦車兵として用済みなのか?
そんな疑問がトプロスの頭の中をグルグルと巡っていた。
いや、そんなはずは無い。俺は戦車兵としてこの戦いで相応の戦果を上げている。ドライバーとしてもガンナーとしても結果を残しているはずだ。それなのに機種転換だと?
連邦宇宙軍でも戦車兵は存在している。しかし、その規模は少なく各コロニーの守備部隊に僅かに配置されているに過ぎない。それにしたところでコロニーサイドの大半が壊滅状態に陥っているこの状況で戦車兵の必要性がそれほどあるとは思えなかった。また、ジャブローの防衛は連邦陸軍が勤めているという現状でジャブロー守備部隊に宇宙軍が名乗りを上げるとは思えない。何よりも配属先は教育大隊なのだ。教育大隊でジャブローを防衛するとは到底考えられなかった。
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