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2日後、もやもやとした感情を胸中にしまいきれないままにトプロスはメキシコシティからジャブローへ向けて飛び立つミデア輸送機の機上にいた。
この先ジャブローについてどんな無茶をさせられるのか、ただそれだけが心配だったのだ。
セイバーフィッシュ4機を護衛としたミデア2機を含む6機編隊はメキシコシティを立って約半日後、南米の北中部、オリノコ川流域のギアナ高地にひそかに建設された連邦軍本部ジャブローへと辿り着いた。
ジャブローはギアナ高地の地下をくりぬくようにして建設された連邦軍の総司令部である。
深い熱帯雨林のさらにその地下に建設された基地の全貌を知っているものは殆どおらず、中で勤務している人間でもその全容はようとして分からないものとなっていた。その入り口はこれまた周囲の熱帯雨林と同様の植物によってカムフラージュされており、戦闘機などの航空機の離発着はこのカムフラージュされたハッチの奥に隠されたカタパルトなどによって行われる。
ジャブロー本部の中には連邦軍全体の司令部、陸海空宇宙軍司令部のオフィスをはじめ、各軍の兵器工廠、艦隊単位の数の艦艇を停泊させることの出来るドックなども兼ね備えており、名実ともに連邦軍の心臓部であり頭脳でもある。
ジャブローに到着したトプロスは、すぐさま連邦陸軍本部のあるビルへと向かった。陸軍から宇宙軍へと配属換えになるという異例のことから、ジャブローに到着後、一度陸軍司令部へと出頭するようにという命令を受けていたからだった。
「トプロス・トリケスラー上等兵です。入ります。」
陸軍のロビーで受付係りに尋ねたとおりの階層で、トプロスは目的の人物のネームプレートを発見してその部屋に入った。
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