50.DACT Ⅳ

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 なぜだっ。  次第に焦りを見せるフラーヴィオだったが、この状況はトプロスにとってある意味望んでいたものであった。  フラーヴィオが、罠にはめられたと気づいたときには既に時遅しという状態だった。  正面に迫る自機のサイズを優に上回るデブリを目の当たりにして、漸く状況を理解したフラーヴィオは、声にならない悲鳴を上げて機体を急旋回させた。  急旋回を掛ける乗機のコックピットから、先ほどまで目の前に捕らえていたトプロス機の動きが気になり視線を送る。トプロス機は緩やかに軌道を変化させつつも、未だにデブリに激突するコースから抜け出すことは出来ていなかった。  機動性に難がある機体であのコースでは・・・。  とはいえ自機の軌道も未だにデブリに接触するコースから逃れられない状況にある以上、楽観視できない状態であることに変わりはない。それでも、ターゲットであるトプロス機をデブリへの激突という形であるにせよ撃破することが出来れば上々といえるだろう。残った問題は彼自身がデブリへの激突を回避することが出来るのかという点だけだった。 「だが・・・、このシミュレーションの結末がこんな結果で終わるとはな・・・」  自機の軌道がどうにかデブリとの接触コースから外れることが出来そうだというところで再び視線をトプロス機へと戻す。  だが、そこでフラーヴィオは自身の目を疑うことに成る。  急速にデブリに接近したトプロス機は、それに接触する直前で態勢を入れ替えるとデブリを蹴るようにして、激突という状況を回避したのだった。 「なんだそれはっ!」  驚愕の声を上げたフラーヴィオ機が衝撃に煽られる。  デブリを両足で蹴るという行為によって衝突を回避したトプロス機とは対照に、接触するコースから完全には脱し切れていなかったフラーヴィオ機が右脚部をデブリにこすりつける様に接触させたのだった。  咄嗟に機体を安定させようとするフラーヴィオが操縦に専念するために視線を外した。
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