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部隊編成を考える中隊長にも苛立ちを覚えていた。
俺がコロニー出身だからって下に見ているんじゃないだろうな?
この戦車長である軍曹とコンビを組んでから何度も考えたことだった。トプロスの頭上でふんぞり返っている軍曹とは反りが合わないこと甚だしかった。一々意見が合わないのだ。中隊長に思い切ってコンビの解消を求めたが、返ってきた答えは曖昧なものだった。
今年20になるトプロスはサイド5の出身だった。故郷のサイド5は1月のルウム戦役において、その戦闘の舞台となったために壊滅的ともいえる被害を受けていた。ジオンに対しては正直恨みしかない。それでも自分を律していられるのはひとえに自分が連邦軍の一員であるという自負から来ているものだった。
軍曹の考えがどうであれ、このアーバイン基地全体が第一種戦闘態勢に移行していることは間違いが無い。これが訓練であればその態勢は第一種警戒態勢であるはずだった。
「トプス。来たぞ、全車出撃命令だ。」
トプロスの憤りなど意に介した様子も無く軍曹が頭ごなしに言葉を投げかけてきた。
「了解。」
隣に並べて配置されていた中隊長の車両が動き出すのを確認しながら、ゆっくりと自身の操縦する61式戦車を前進させた。
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