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ジオン軍の繰り出してきた戦力は連邦軍にとって脅威の一文字でしかなった。巨人の持つマシンガンは120mm口径を誇り、全長18mの高みから放たれる砲弾と言っても過言ではないその銃弾は容易に戦車の上面装甲を切り裂いた。逆に対する連邦軍の戦車の持つ砲は180mmの口径を誇っていたものの、ジオン軍の巨人の持つ機動力に翻弄されろくに照準を合わせることが出来なかった。僅かな命中弾も、これといったダメージを負わせたようには見えず、その機動力と防御力に連邦軍兵士たちは恐怖した。
トプロスの乗り込んだ戦車も例外なく緑色の巨人の猛威に晒されることになった。彼の周囲で次々と撃破されてゆく味方の戦車を横目に巧みな操縦技術で巨人からの攻撃を回避してゆく。だが、最初の強襲によって反応をしなくなった戦車長の為に反撃らしい反撃をここまでしていなかった。
何度名前を呼んでも反応を見せない戦車長に痺れを切らしたトプロスが、巨人からの攻撃の隙を見て自身の傍らに配置されたコンソールを叩く。
連邦軍の最新式である61式戦車は2人乗りでありながらその実、一人での運用も可能なように設計されており、本来はガンナー席にいる人物が砲塔を操作するのだが解除コードを入れることによってドライバー席にいる人間が操作することも可能になる。
「何がどうなってそんな防御力を持っているのかは分からないが、一矢くらいは報いてやる!」
コードを打ち込むことによってモニター上に現れたレティクルを巨人の頭部に合わせて、砲塔の発射トリガーを引き絞る。
轟音とともに砲台から放たれた砲弾は狙いを外すことなく緑の巨人の頭部を捉え、ピンク色の一つ目ごとその頭部を粉砕した。
「榴弾しか装備していなくたってこれくらいは出来るんだ。」
トプロスが狭いドライバー席で飛び上がるようにガッツポーズをとる。
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