序章

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 だが、その行動もながくは続かなかった。  一つ目の巨人は頭を吹き飛ばされたにもかかわらず暫くの沈黙を破って再び動き始めたのだ。  「クソッ、カメラは他にもくっついているってことか。」  今度は榴弾ではなく撤甲弾を選択して砲塔の薬室にセットする。  「今度はこれでどうだ。」  再度の轟音が61式戦車を震えさせた。61式戦車から放たれた2発の撤甲弾は巨人のコックピットがあるであろう胸部ではなく、より命中させづらい脚部に着弾し、その間接部を奇麗に吹き飛ばした。緑色の巨人が大きくぐらつくと、そのまま前のめりに倒れこもうとする。  巨人が何とか倒れこむまいとバランスを取っているところへ3度目の砲弾が打ち込まれる。その砲弾は頭部の無くなった巨人の左肩の間接にかろうじて命中し、その肩を使い物にならなくしたばかりではなく、着弾の反動を利用して巨人を地にひれ伏させることに成功したのだ。  「さて、次の巨人に見つかる前にさっさと後方に下がるぞ。」  他人事の様に呟くと、61式戦車を素早く回転させて高速でその場を離れた。  61式戦車を南に回頭させながら再集結地点に設定された場所を確認する。再集結地点はサンクレメンテ方面に設置されていた。
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