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「でも、制服の入手先を明らかにすれば、その問題は解決できるんですよね?」
「まあ、そうだね。相手は物証をなに一つ持っていないから」
「それなら、犯人を探しましょうよ。それで、尾上先輩の無実を証明しましょう!」
こんなこと絶対に許せない。尾上先輩は昔は不良だったのかもしれないけど、今は全然そんなことない。犯人は必ず明らかにしないといけない。
邪智暴虐の王に怒るメロスのように、僕の中の正義感が目覚めていく。それが、尾上先輩が関わっているからなのかは、わからない。
「まあ、そうしたいんだけど、相手の嫌なところはこれをテスト期間に被せて来たところだよね。会議部に所属すれば手に入る特典も、成績がある程度は必要だけど、勉強しなくても点数が取れる人なんて、そんなにいる訳じゃないし」
僕は成績優秀だとは言い難いし、会長も勉強時間を考えると要領がいいとは思えない。尾上先輩はそういう人間だと思っていたけど、元不良というのを考えると、今こそ頑張るべきときに思われる。そして、成績優秀ではあるものの、衣島さんにはできると思えない。
「俺の出番っすかね?」
気づけば背後に志摩先輩が立っていた。さりげなく、僕の肩に手を乗せようとしたので逃げた。
「逃げられたか」
「男子同士のセクハラ反対」
「それはセクハラにならない気がするけど、まあいいや。話は聞いてました。俺が調べてみますよ」
「いいのかい?」
「だって、姫もそんなことできなさそうだし、消去法で俺しかいませんよ」
「制服を相手が所持していることを考えると、犯人は卒業生の可能性が高いんだけど、それでも?」
「ちょっと厳しいですけど、なんとか頑張ってみますよ」
いつもピンチな状況を覆す人だし、良い人ではあるのに、セクハラだけが本当に無理だ。もったいない人だなと思う。こんなこと思うのは僕だけなのだろうけど。
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