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「本当にごめんなさいねぇ」
「あの、一ついいですか?」
「えぇ、好きなだけ聞いてちょうだい」
深呼吸を一度だけして、声を出す。
「あの、私は女に戻れますか」
どきどきしながら女神様の返答を待つ。
短くも長い時間だ。
「えぇ、もちろんよ」
「わっ、本当ですか!」
嬉しくなって律君の手を握る。
「あ、でも四日間は男のままなのよね。申し訳ないけど」
眉を下げる女神様を見ながら、私は固まった。
おう、四日間か。微妙な日数だな。
でも元に戻れるなら、とりあえず安心だ。
そう思っていたら、律君が手を握り返した。
どうしたんだろう。
「律君?」
「お前、学校どうする」
「え?」
「今日が土曜日だから、最低でも二日間は学校の日とかぶるぞ」
「あ、そっか。そうだよね」
うーん。どうしようかな、学校。
行きたいけど、校門で追い返されそうだ。
いやいや、その前に制服がない。
うーん。
「とりあえず二日間は休もうかな」
「それがいいな。望月たちには適当に言っとく」
「うん、お願いします!」
「うふふ、仲良しさんね。とっても羨ましいわ」
あれ、なんか女神様の声が途中から低くなった気が……。
女神様に視線を向けると、ごごごごっとなにか黒い雰囲気になっていた。
「私の旦那なんて、他の女神に浮気して……いい加減腹がたって薬を開発したのよねぇ。まさか仲睦まじい恋人のところに落としてしまうなんて!私の馬鹿!女神失格よ!あぁ、でも貴女たち二人が別れなくてよかった」
律君と顔を見あわせ、微笑む。
とりあえず、一件落着のようです。
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