画家と農夫

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俺は連日、友人を訪ねる。 広めの土地に、小さめの平家。 そこで一人、野菜を作って暮らしている、気の知れた仲だ。 晴耕雨読…彼は、まさにそういう日々を送っていた。 今朝から降り続く雨の中を、俺はそっと歩く。 こんな畑の中を通る道じゃ意味もないのだが、替えのない靴やズボンを汚したくなかった。 結局、諦めたように走って、建て付けの悪い戸をガタつかせている間に、 傘はバランスを崩し、 軒からだらだらと垂れる雨水が、頭から全てを濡らしてしまった。 ようやく中に入ると、そこは薄暗く、誰も居なかった。 本が積み上げられた山の間にのぞく床板に、 少しだけ外の明るさが映って、影が山水の体をなしていた。 そのうちの一つに、タオルとメモが乗せられている。 俺は、ふわりと頭を包むと窓際まで行き、その明かりでメモを読んだ。 “下の畑に居るからね” かの物語を綴った人とは違う、なんとも軽い字面に 「はい、はい。」 と返事をしながら、俺は“地下の畑”へ向かった。
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