画家と農夫

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まるで春画だ。 全て掘り出したイモが、畑いっぱいに“裸”で転がっているだけなのに、 それが人の形だというだけで、こうも異様な光景になるとは。 初めは驚いた。 友は、とんでもない罪をおかしてしまったのかと震えた。 そう思ってしまうのが当然なほど、本当に“人の様”だったのだ。 コレを初めて見たのは、俺達が二十を過ぎた頃だったか。 ちょうど今時分、彼から電話があった。 夜に来てほしいと。 彼は“必ず夜に”と念を押した。 どうしたと聞いても、頼むからと言うばかりだった。 その声は、少し震えていたように思う。
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