218人が本棚に入れています
本棚に追加
顔を洗うのは失敗だったと思ったがもう引き返せない。
その勢いで顔に水を2回かける。
痛みのあまり目が開けられない。
目を閉じたまま、手を伸ばし感覚でタオルを捜す。
だけど、タオルの感触を感じなくて。
手を彷徨わせていると、タオルの方から手に吸い付いてくる。
その不思議な現象に薄目を開けた。
嶋沢の姿をが見えて「ごめん」と、告げた。
ゆっくりとタオルを顔に押し当てる。
擦り傷以外にどうやら内出血もしているようで、押さえると痛みがある。
俺はそれで、結構殴られたのだと気づく。
あの時は、嶋沢の事が気がかりで殴られながらもそれ程に痛みを感じていなかった。
タオルから顔を上げると、心配そうに俺を見つめる嶋沢の姿があった。
心配をかけないよう笑顔を作るが痛みが走り顔が歪む。
「大丈夫だ。」
そう言いながら、嶋沢の頭を撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!