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「暑い…さすがに中腰で4時間はきつい…。」
「日向サボらないでよ! まだまだ先は長いんだから!」
「マジで都会っ子にはヤバすぎだぜ…。」
「ひーなーたー! がんばってー!!」
「……!! おう!!」
「なによ! この反応の違いは!」
「まぁまぁ、お姉ちゃんも頑張って!」
ジリジリとした太陽の下、端鞠高校生徒一同は学校が所有している田んぼに入り田植えをしていた。皆体操服に着替え、裸足で田んぼに入っている。
田んぼの中に足を入れると泥のひんやりした感覚はいいが足をとられそうになる。
日向は少し先にいる微笑んで此方を応援しているかんなを見て顔が自然とにやける。
ポーカーフェイスを装うが傍から見てもにやけているのがバレバレだ。
(かんな可愛いなぁ…かんなの前で田んぼにドボンだけは御免だな…。)
日向がかんなにニヤニヤしながら萌えている横で青筋を立てるかれん。
かれんは怒りのあまり途中で捕まえた泥だらけの大きいカエルを日向に投げつけた。
「かれん!なにすんだ…うわぁぁぁぁ!!!」
腕に張り付いた泥だらけのカエルを見て体勢を崩した日向は盛大な音をたてて田んぼへダイブした。そんな姿をかれんはニヤリと見下していた。
「あら!ごめんあそばせ!つい手が滑ってしまいましたわ!おほほほ!」
「……お姉ちゃん…。」
「……。」
泥まみれの日向の体はプルプルと震えていた。
そして日向は手を伸ばしかれんの足首を掴みかれんを見上げる。
日向の顔はさっきのかれんと同じくニヤリと笑っていた。かれんは何かを察したのか顔が青ざめる。
「俺、やり返すタイプだからな?」
「きゃあああ!!」
日向が掴んだ足首をコチョコチョと擽り始めるとかれんはそれから逃げようと体を揺らす。
足はぬかるみにはまっているかれんはバランスを崩して日向と同じように盛大に田んぼの中へ倒れたのだった。
「あいつら、なにやってんだァ…」
「日向とかれんが遊んでるぜー!」
「はぁ、今日中に終わらねェじゃねーかよォ」
(楽しそう…なんだろ、この気持ち…なんか)
「かんなさん、どうしましたか?」
「えっ!…なんでもないよっ茜ちゃん!」
かんなはこの気持ちの名前をまだ知らない。
かんなは日向とかれんが言い合いをしているのを横目に茜と一緒に田植えを進めていった。
今日も端鞠は暑い一日だった。
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