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「おかえりー…あ、かんなちゃんいらっしゃい!」
「日陰さん!こんにちは!」
「アンタまたかんなちゃん連れ込んで…」
「はぁ!?」
「…かんなちゃんもこんな狼にホイホイとついて行っちゃダメよ?」
「狼? 」
「そうよ!普段はこんななりだけど局部は獰猛な…」
「だぁぁぁ!! 何言ってんだよ!母さん!!…かんな居間にジーチャンとバーチャンいるからお茶でも飲んでな」
「? うん!!」
かんなは日向の言葉に頷くと靴を脱いで玄関を上がり居間の方へ歩いていった。
それを見届けてから日向は日陰の方を向くと日陰はぶーっと膨れた顔をしていて日向に文句を言っていた。
「かんなちゃんと楽しくおしゃべりしてたのにー」
「変な事かんなに吹き込むなよ!?」
「ええー…」
「はぁ…あ、母さんあのさ話があるんだけど。」
「なに?どうしたのよ、そんな改まって。」
「…実はさお願いがあるんだ。かんなも此処に住まわせてくれないかな?」
「……あら、もしかして孕ませちゃったの?」
「なんで話をそっちに持ってくんだよ!?」
「冗談よー、でもなんで急にそんな話になった訳?」
「……。かんなの家って両親いなくていつも帰ると1人なんだ。それがつらいってかんなが言ってたんだよ、俺あんな顔したかんな見たくなくってさ…。」
「……。」
「……。」
日向が顔を顰めて俯いているのを日陰はため息をついて眺めていた。
日向のその姿は昔と同じだなと日陰はニコリと微笑む。
「しょうがないわねー、私から父さんと母さんに言うから前にかんなちゃんが泊まった部屋、アンタが掃除しなさいよ?」
「……おう」
日陰はまたため息をついて日向の頭をポンポンと撫でて居間へ歩いて行った。
日向は少しポカンと固まっていたが許可が下りたのだと理解すると安堵のため息が出た。
日向も日陰を追って居間へ移動するとそこにはジーチャンとバーチャンが和菓子をかんなにあげているところでかんなも嬉しそうにそれを貰いニコニコしていた。
日向もただいまと挨拶をするとジーチャンとバーチャンはおかえりと返してくれてなんだかこんな幸せな時間が一生続けばな、と心に思う日向がいた。
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