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「でさー!日向ったらさー」
「日陰、飲みすぎだァ」
「そんな事ないわよー!隼人も飲みなさい!」
「……お前の面倒しなきゃならねェんだから飲めねーだろ」
「ぶーっ! アンタはねいつもそんな顔してるからモテないのよー」
「関係なくねェ!? お前マジでそれよこせ」
「いーやーだー!!」
ギャイギャイ大の大人が縁側で騒いでいるのを横目に日向は居間を見るとそこにはジーチャンとバーチャンの年寄り仲間が酒を飲んでいた。宴会だ。
日向ちゃんのお嫁さんがーとか若いもんはええなぁ…なんて会話が聞こえてきていて日向はため息をついた。
かんなはバーチャンが作った料理を運んでいて大変そうにしていたので日向も手伝いに行こうと思い台所に向かおうとすると酔った近所のじーさんに絡まれた。
「かんなちゃんとはちゅーはしたのかい?」
「え!? 何言ってんすか!」
「その反応だとまだじゃのぅ」
「かんなちゃんは可愛いからええのぅ」
「家のばーさんと取り替えないかい?」
じーさん連中はええのぅ…と呟きながらお酒をまた飲み始めた。
日向はたじたじになりながらなんとかお酌をする。
バーチャンはまだ料理を作っているし当分宴会は続きそうな予感だ。
(早く終わらないかな…はぁ)
「日向ー! 追加のお料理持ってきたよー!」
「ほほほ…お嫁さんが来たのぅ」
「酔っ払いは黙ってろって…」
「なんだ照れ隠しかーお前さんの顔真っ赤だぞ」
「え!?」
「嘘じゃ」
「…えええ…」
まさか年寄りにからかわれて脱力感が出てくる日向。
かんなはニコニコしながらまたバーチャンの元へ料理とお酒を取りに行ってしまった。
日向は休もうと縁側の方を見るとさっきまで騒いでいた日陰と隼人がいなくなっていた。
飲み残したお酒と空になっているグラスを片付けようと縁側に近づくと少し離れたところに2人がいた。会話は聞こえなかったが日陰が泣いている様に見えた。
(…先生と何話してんだ母さん)
「ひなたー?」
「!! あ、かんなか」
「あれ?日陰さんと先生あそこで何やってるんだろ…」
「……わかんないけど母さんが泣いてるように見えるのは気のせいか」
「……!! 日陰さんの事助けに行かなくちゃ!」
「え!? いや、先生が泣かしたんじゃないと思うけど」
「日向! こっちから行こう!」
かんなはぷーっと頬を膨らまして日陰と隼人の近くまで行ってしまったのでしょうがないと日向もかんなの後を追った。
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