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〇秘密基地〇
「…ハァ、ハァ、ハァ…」
床に倒れたⅩが苦しげに呼吸を乱し始めた。
殴られた衝撃で一気にパワーが消耗したのだ。
「…ハァ、ハァ、宇宙パワーがダウン…して…きた…ハァ…」
イケメンの顔がみるみるうちに青銀色の不気味な色に変わっていく。
赤色の鋭い眼。
裂けた口に牙。
爬虫類のような皮膚。
Ⅹは10秒ほどで悪魔もどきの姿に戻った。
もし、この姿のままで風俗店に現れたなら間違いなく風俗嬢は悲鳴を上げて一目散に逃げ出すことだろう。
「ふん。性行為は著しくパワーを消耗するのだ。我々が地球で活動をするには、まず宇宙パワー節約!」
「そのためには禁欲主義的生活なのだ!」
H隊長が毅然と言い放った。
「…ハァ………そ、ん…な……俺…、若い…のに…ハァ…………」
Xは納得し難く口答えをしつつ、意識を失っていった。
「まったく近頃の若い奴は…」
腹立たしそうにH隊長は倒れたⅩを一瞥する。
この彼等こそが地球征服を企む悪の宇宙組織の工作員。
宇宙怪人H隊長と、その手下のⅩ。
この都内某所のコンビニこそが実は宇宙怪人の秘密基地なのだ。
ピロリン♪
ピロリン♪
コンビニに客が来たらしい。
「いらっしゃいませ~」
H隊長は急いで店内に戻ると、愛想良い笑顔で客を出迎えた。
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