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〇初めての地球〇
「この惑星か…。悪の宇宙組織が潜伏しているというのは…」
2221年。
サルメンダーは地球征服を企む宇宙怪人の潜伏情報を得て、地球上の日本という小さい島国に降り立った。
キュン。
「…はっ!身体が宇宙パワーに反応を示したぞっ。この近くに宇宙怪人の秘密基地が在るのかもしれない…」
地球第1日目。
サルメンダーは宇宙パワー発生源の探索を開始した。
ブルン!
ブルン!
宇宙戦士仕様の銀色の陸空兼用バイクで街中を駆け廻る。
「…う~ん…。TOKYO…のここは何ていう街なんだろう?日本語の表記は難しいな…」
どうやら、道に迷ってしまったらしい。
サルメンダーは生まれも育ちも宇宙のさいはてのBL星。
地球に来たのは初めてなのだ。
「…BL星から来た宇宙人なんて田舎者だって馬鹿にされるかもな~。地球のヒトは冷たいとよく聞いてたし…」
サルメンダーは心細くなった。
おまけに気分が悪くなって頭がボウ~ッとしてくる。
「…ハァハァ……ハァ…何だか…息苦しいぞ…」
「そうか!地球では宇宙パワーがないと宇宙生物は活動出来ないんだ」
「どうしてもっと早く気付かなかったんだ…っ」
サルメンダーはバイクを降りてフラフラと道に屈み込んだ。
そういえば、地球へ行く時には宇宙パワーの濃縮カプセルを常備するようにと指示があったのだ。
(…うっかりと忘れてた。俺としたことが…)
後悔先に立たず。
サンメンダーはその場に倒れて動けなくなってしまった。
パタ。
パタ。
足音が近づいてくる。
「…お兄ちゃん?…大丈夫?」
少年の声だ。
「……」
サルメンダーはまだ意識はあるが口も利けない状態だった。
ぼやける視界に自分の顔を覗き込む心配そうな少年の顔がある。
(…か、可愛い……)
そのまま、サルメンダーの意識は遠のいていった。
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