第1章 地球

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〇宇宙パワー〇 「…うんしょ…っと…」 ワタルは両腕でサルメンダーの上体を抱き起こした。 グッタリとして、サルメンダーの顔がワタルの肩の上に乗る。 ワタルの首筋にサルメンダーの唇が触れた。 (…あ…っ) 飛び跳ねるようにワタルの胸が躍った。 その瞬間、 キュン! ワタルの身体に不思議な変化が起きた。 キュン! キュン! ワタルの体内に熱い火玉のような塊が発生してくる。 それがワタルの皮膚を通過してサルメンダーの体内に移動していく。 (…なに?これ…?…熱い…っ胸が焦げそうに熱いよ…) ワタルは熱気にのぼせたように、頭がボウッとして倒れ込んでしまった。 「…う…ん…」 サルメンダーが意識を取り戻してきた。 体内に宇宙パワーが注入されたのだ。 「…はっ!」 気付くと自分の腕の中に少年がいる。 「…さっきのコだ。何でこのコが気を失ってるんだ…?」 サルメンダーには訳が分からなかった。 地球人に触るのは初めてだ。 しかも、この少年の体内から宇宙パワーが発生しているではないか。 (…どうして…地球人の子供に宇宙パワーが……?) それは疑問だが、こうして少年の身体を抱きかかえているだけで全身にパワーが注入されていく。 サルメンダーはたちまち体力が回復していた。 「…宇宙パワー充満!!」 つい口に出して言ってしまう。 何だか、身体がムズムズとしてくる。 (これは元気が付き過ぎてしまったぞ…) 精力増進状態でサルメンダーがムラムラとしていると、 バタ。 バタ。 道の向こうから白衣姿の男2人が駆けてきた。
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