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〇宇宙猫〇
(それにしても、お茶も出ないのかなぁ…)
サルメンダーはポツネンと廊下に立ったままで周囲を見渡した。
他にヒトがいる気配が無い。
(…まさか…、…博士と助手の2人だけ…?)
サルメンダーは宇宙防衛研究所というところは研究員が何千人もいるものかと思っていた。
(…は…っ)
気配を感じ、サルメンダーが振り返ると、
ニャー。
ニャー。
猫が2匹、廊下の角を出て歩いてきた。
金色の毛の猫と銀色の毛の猫。
ピカピカと毛が光っている。
「あっ。これは宇宙猫じゃないですか?」
サルメンダーは訝しげに2匹の猫を見た。
「宇宙生物観察のため研究所で飼育しているのだ」
そう博士が説明したが、
「てか、ただのペットっすね」
秋葉原が横槍を入れる。
「…それに毛が光るだけで地球猫と変わらないのに宇宙パワーを食うから金がやたら掛かるしっ」
秋葉原は足元に寄ってきた猫をいまいましげに見下ろした。
「あれ?なんか、こいつ等、急に二廻りくらい太ったんじゃないっすか?」
ニャー。
ニャー。
2匹の宇宙猫は今朝より丸々と太って、毛艶もピカピカと輝いている。
「んっ?なんかモワッと熱気がする…」
秋葉原は両手でパタパタと宙を扇いだ。
(…宇宙パワーだ…)
サルメンダーは心の中で呟いた。
地球人には熱気としか感じられないらしいが、研究所の空気中に宇宙パワーが漂っている。
これはワタルの体内から放出された宇宙パワーなのだ。
(…あのコは、全くの健康体のはずだ…)
ワタルから宇宙パワーを受けたサルメンダーははっきりと判断が付いていた。
だが、飯田橋博士達は検査結果を確認しないと納得が出来ないのだ。
ピー。
スキャン完了。
ワタルの身体の検査結果が出た。
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