1318人が本棚に入れています
本棚に追加
製粉工場との交渉を終え、生産ラインの品質管理状態の視察を済ませて工場を出た頃には、すっかり夕陽が傾いていた。
「映見、疲れたろ?
今夜はホテルのレストランで夕食取って早目に寝るか?」
友哉の問いかけに私は黙ったまま頷く。
けれどやっぱりどうしても納得行かなくて。
「友哉」
「うん?」
「さっきの工場長の説得はありがとう。だけど…」
言いかけた私の唇を友哉の指先が塞ぐ。
「言いたい事は分かってる。
あのオーガニック小麦に目を付けたのは瀬那川君だったのに映見の手柄みたいに言われるのがイヤだったんだろ?」
最初のコメントを投稿しよう!