Act.11

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まさにその通りなんだけど。 無言で頷いた私に友哉は小さくため息を吐く。 「だけどさ映見、お前も分かってたろう。 あの工場長、完璧に映見を女だからって舐めてかかってた。 俺はどうしてもそれが許せなかったんだ。 だって瀬那川君をあそこまで育てたのだって映見じゃん」 …違う。 それだけじゃなくて瀬那川本人が努力して来たからだ。 「とにかく小麦粉生産量のアップは決まったんだし、ある意味駆け引きってやつなんだから。 映見の性格では納得行かないかもしれないけど、今更他の製粉会社って訳には行かないんだろうし…今回は我慢してくれよ」 困ったように眉を下げた友哉にしぶしぶ頷くけれど…このスッキリしない感情はいったい何なんだろう…。
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