Act.12

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───眠れない夜。 時計の時刻はもう深夜2時を回っている。 あの後、友哉は悲しそうに笑って言った。 「だけど瀬那川君と付き合うかどうかを決めるのは映見だから。 どのみち俺は来年から福岡だし…遠距離恋愛なんてお断りだろ?」 何度も寝返りを打っている友哉もきっと眠れないんだろう。 けれど何も私に話しかけることもなく、彼は静かに瞼を伏せている。 あれから瀬那川からは連絡がない。 北海道でいったい彼は誰と一緒にいたのだろう。 『蓮都』と名前で呼び合う関係の女性って…。 日帰り出張の北海道だけに、打ち合わせが終われば自由行動だって可能なのは分かってたけど、北海道にも女がいるなんてどこまで瀬那川という男は軽薄なんだろう。
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