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「だけど不思議なものでな、この女が嫌いだって思うと逆にその存在が気になるんだよなぁ人間ってやつはさ」
「それは俺も何となく分かります」
「ふっ。瀬那川ちゃんも入社したばかりの頃は映見ちゃんが嫌いだったみたいだもんな」
…さすが楠田部長。
そう思いながら苦笑いした俺に部長は再び昔話を続けた。
「気づいた時には冴子に完璧に惚れてる自分がいた。
人を好きになるのは理屈じゃ説明つかないって初めてそう思ったよ。
だけどそれを龍都に打ち明けようって思った時にね…」
そこまで言って楠田部長は静かに瞼を伏せる。
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