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「龍都から打ち明けられたんだ。
冴子が好きだって」
恐らく…その頃の兄貴にとって唯一心を許していたのが楠田部長だったのだろう。
昔からどこか冷めた目をしていた兄貴は中学の時も高校の時も、決して親友という存在を作らなかった。
そんな兄貴が自分が女に惚れている事を打ち明けたなんて事自体が俺にしてみたら驚きでいっぱいだ。
「だから自分は冴子に恋した事を龍都に言えなかった」
そう言って楠田部長は伏せていた瞼をゆっくりと開く。
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