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「…えっ?」
言葉を失ってしまった俺をチラリと見つめた楠田部長は煙草を再び深く吸い込む。
そして煙を吐き出しながら話を続けた。
「さすがにさ…冴子の自殺未遂は自分にとってもショックが大きくてね。
冴子をきちんと守れなかった龍都が許せなくなった。
だから…自分は冴子を龍都から奪い取ったんだ。
今思えばあの時の自分も卑怯だったと思ってる。
ボロボロに傷ついた冴子を自分のものにするのはあまりに簡単な事だったからね」
自虐的な笑みを見せた楠田部長だったけど。
俺にはその時の楠田部長の気持ちが何となく分かる。
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