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けれど兄貴との挨拶を交わしながら、激しく揺れる小雪の瞳に俺は気づいてしまった。
…あれは…今思えば完全に愛しい人を見つめる瞳だったのに。
何も知らなかった俺は、その夜近くのホテルで小雪を抱いた。
そして俺の全てが無残に音を立てて崩れ去るその瞬間を迎える事になったのだ。
アロマキャンドルに照らされた小雪の白い肌にいくつもの朱印を残したのに。
俺の背中に爪を立てながら彼女は叫んだんだ。
────龍都、と。
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