Act.26

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楠田部長が言ったように、この先まだまだ悲しい現実が待っているかも知れない。 小雪さんのお腹の子がもし本当に瀬那川の子ではなく紺野君の子だったとしたら…。 その裏には一体何があるのか。 瀬那川の意識が戻っても社会復帰出来るまでは時間も掛かるかもしれない。 その時、私は彼をどこまで支える事が出来るだろうか。 心の中に結論は出ていても、現実は甘くないのだ。 今日こそ彼は目を覚ましてくれることを祈るしかない。 電車の車窓に見えるビルの隙間からオレンジ色の太陽がチラチラと私の瞳を刺激して熱を帯びてしまった瞼を伏せた。
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