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いまだかつて見たことがなかった葉月の哀愁を帯びた瞳で、俺の胸の中に漠然と妬心じみた感情がこみ上げる。
どんな男の前でも変化を見せない彼女にこんな表情をさせるのが、黒田君だったことに驚きも隠せなかった。
何故、この男を取り巻く女たちはこんな表情を見せるのだろう。
正面の三浦晴香と言い、瀬那川にあんなにも思われながらまだ完全に心から黒田君を消せない津川映見と言い…。
確かに男の俺から見ても黒田君は魅力的な男だとは思う。
けれどその瞳の奥底に、決して誰にも見せまいと押し隠している小さな炎に俺は気づいているようで本当は気づけていなかったのかもしれない。
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