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「歩…それ本気で言ってるの?」
SENAフーズへ冴子と瀬那川蓮都が交渉に行く前日の夜、美味いワインを味わいながら俺は困惑する冴子に笑って頷いた。
「SENAフーズとの共同開発の件が決まったら辞表を提出するつもりよ。
もうアタシの後継は津川映見っていう人材が育っているし、この会社の集めた株は、その時が来たら全て瀬那川蓮都に譲るわ。
彼ならSENAフーズもこの会社もきっと守り切ってくれるとアタシは信じてる」
「…どうして?
この会社の開発事業が業界トップでいれるのは、歩が努力して来たからじゃない…」
今にも泣き出しそうな表情で訴える冴子に胸が痛む。
けれど…俺はここにいてはいけない人間だ。
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