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カナダ出張を明日に控えた津川映見と、それが不満で仕方ない瀬那川を見送りようやくオフィスでひとりになった午後8時。
深いため息をついて天井を見上げる。
いつもなら今頃はもう葉月と美味い酒でも酌み交わしている頃だろう。
しかしあれ以来、すっかり俺を避けているのか葉月からの誘いの内線も鳴る事はないままだ。
けれどこのまま彼女が俺から離れてしまってもいいと思った。
いや、そうするべきなのだ。
彼女がどんな過去を引きずって男を避けるのかは分からないが、俺とは違う。
葉月にはまだ…恋をする権利があるのだから。
と、その時企画室のドアを誰かがノックする。
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