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この男はいったい俺に何を投げつけるつもりなのだろう。
目まぐるしく瞳の色を変化させるその心の奥底に何を押し隠しているのだろう。
そんな事を思いながら待っていた耳に聞こえたのは、俺の予想を覆す黒田君の言葉だった。
「彼女の過去を全て受け止めてあげてください」
「…過去…とは?」
「彼女には…もう家族がいません」
「…………」
「俺と同じように…彼女の家族は一家心中したんです」
あまりに衝撃的すぎる黒田君の言葉に、俺は何も言葉を放つことなんて出来なかった。
ただ…悲しそうに笑う黒田君の口元を見つめ息を飲む事しか出来なかったんだ…。
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