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「彼女の妹も弟も…全て父親に殺されたそうです。
けれど彼女だけは全寮制の高校だったので生き延びた。
しかし葉月にしてみたら自分だけが生かされた事に絶望感を抱えて生きて来たんだと思います。
だから彼女は…誰も信じなかったし誰にも心を開かなかった」
「…………」
「それは俺も同じで、両親が心中して弟とも離ればなれになり…親戚をたらい回しにされたあげく見捨てられました。
そんな俺と葉月が出会ったのはこの会社に入る前、バイトで生計を立てながら大学に通っていた頃でした。
お互いが似たような過去を持つもの同士だからでしょうか…。
引き寄せられるように俺と彼女は身体を重ねました」
予感はしていても、やはり葉月と黒田君の間に肉体関係があったという事実を聞かされ俺の心が激しく揺れる。
しかし穏やかな表情とは裏腹な黒田君の冷酷無情な言葉が俺を貫いて行く。
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